第39期仏教章第2教程講習会の報告

感染症流行とスカウト活動

令和2年(2020)2月から日本での感染が広まった新型コロナ感染症。この3年の間に流行拡大や小康状態を何度か繰り返してきました。一つの病気の流行り具合によって社会全体の動きが立ち止まったり、動き出したりと、21世紀の現代でもこんな事が起きるなんて信じられないような気持ちで過ごして来たように思えます。
一つのテントで班員達がキャンプ生活を共にする事を基本と考えて来たボーイスカウト活動にとっては、この3年間は、各団・各隊ごとに感染リスクの少ない活動方法を模索する期間であったのでは無いでしょうか?

Top↑

会場を分けて講習会を実施

天台宗仏教章第2教程講習会(以下:第2教程講習会)の開催も然りで、比叡山という仏教道場を会場に、2泊3日のスケジュールで30名前後のスカウトが泊まり込みの研修を行なう訳ですから、感染症予防から考えると、その開催形式について根本から考え直さなければならない状況でした。
令和2年は急遽開催中止。令和3年は、日帰り日程での開催を準備していましたが、コロナ感染症の流行再拡大により中止となりました。
2年連続で中止となった後の令和4年には、感染症流行の小康期間とタイミングが合い、第2教程講習会の内容を座学を中心とした「講義」と、比叡山での「回峰行実習」に分けた形で実施し、「講義」と「回峰行実習」の両方を履修する事で第2教程講習会の課程を修める事としました。
そして迎えた令和5年の第2教程講習会でも、昨年同様に「講義」に一日、「回峰行実習」に一日と、別日程で宿泊を伴わない形で開催しました。

Top↑

「講義」は2会場で実施

今回も講義については、東日本・西日本の2会場を準備して各スカウトが参加しやすい会場で受講してもらいました。西日本会場は2月19日に大津市坂本の恵光院にて6名のスカウトが参加して実施され、東日本会場は3月5日に足利市の龍泉寺にて12名のスカウトが参加して開催されました。
本来は2泊3日の日程の中で行う内容を1日で行うことになりますので、仏教のお話から始まり、写経座禅・食事作法・礼拝実習。そして仏教聖歌まで、広範囲に及ぶ盛り沢山の研修内容となり、学ぶスカウトは大変だったかも知れませんが、講師の方々の熱意と配慮もあって、参加スカウト全員が所定の課程を受講して、「回峰行実習」へと進むことが出来たようです。

Top↑

比叡山での「回峰行実習」

本来の「回峰行実習」は、第2教程講習会の最終日の深夜午前2時に起床して午前3時から回峰行に出発するのですが、日帰りを前提としている今回の場合はそこまでの時間は取ることが出来ません。午前9時に比叡山の麓・坂本を出発して、帰宅のことも考えると、午後3時頃には比叡山を下りて解散するといった少し短縮型の回峰行となっています。
3月29日に行われた今回の回峰行実習には、東西2会場に分かれて開催された第2教程講習会の受講者18人が参加してくれました。関東からの参加スカウトの中には、前泊して参加してくれたスカウトや、夜行の高速バスを利用して当日朝に京都着いたスカウトもあったようです。
幸い回峰行当日は数日前から続く花見日和の好天の中、実施することが出来ました。
参加スカウトは午前9時前に天台宗務庁に集合して、出発式で回峰行での注意事項を確認した後、指導してくれる延暦寺のお坊さんついて急峻な登りが延々と続く無動寺坂登山口へと列を進めて行きます。
出発地点の大津市坂本の標高は120メートル程で、延暦寺の標高は620メートルですから約500メートルの高低差が有ります。そこを小1時間程度で登るのですから、最初はかなりキツい試練のようです。


それでも最初の500メートルさえ登り切れば、山上の諸堂には緩やかな道で繋がっておりゆったりと巡ることが出来ます。
比叡山山上では、令和の大改修中である根本中堂や、比叡山を開かれた伝教大師の墓所のある浄土院や釈迦堂などを順番に巡って、先導役の方が詳しく説明をしてくれます。
深夜の回峰行の場合は、無心になって暗闇の中を歩く時間が長く、延暦寺山内の雰囲気を楽しむ余裕は余り有りませんが、その点、昼間の回峰行の方が、山上の様子を見学する事も出来て楽しみが多いのかも知れません。
東塔・西塔を巡った後は、山上のドライブインにて精進料理のお昼を済ませました。もう少し、比叡山の奥の横川まで足を進めたいところですが、時間の制約で残念ながら、お昼が済んだら帰路に向かい、途中で法華総持院や阿弥陀堂などを巡ってから山を下りて、最後に出発地点の隣になる滋賀院を参拝して、今回の回峰行実習としました。

Top↑

次回は第40期

注意を重ねてきたコロナ感染症に対する用心ですが、この春になってから、用心が功を奏したのか?病気の毒性や感染力が弱まったのか?徐々にでは有りますが、感染者の数も少なくなり、人の動きも活発になって来たように思えます。
今後も一人一人が感染症の予防に注意を払いながらも、当たり前の事が、当たり前に出来る日常を取り戻す方向に世の中が動いて行って欲しいものです。
天台スカウトでは今年の7月には、第10回になる天台キャンポリーの計画も進めています。是非とも多くのスカウト達が参加して、天台キャンポリーを楽しむことが出来ればと願います。
また、次回の第2教程講習会は第40期を迎えることになります。次回は会場分散の形では無く、比叡山延暦寺を会場として、2泊3日の旧来の形で実施が出来ればと願っております。その際には、仏教章取得を考えて居る多くのスカウトの皆さんの、ご参加を期待しています。