宗教章の意義

①スカウティングと宗教

スカウト運動は約100数年前にイギリスのベー デン・パウエル卿によって始められた「良き市民」を育てる為の「青少年教育運動」の事で、世界に通用する公民姓を身につける青少年を育てる為に大自然を教室として、そのなかで学習する教育であります。今では全世界の国々に広がっています。
大自然の中でハイキングやキャンプをする時、スカウトたちは「生身の人間の弱さ」・「人間の力の及ばない世界」がある事を知り、その大自然の神秘に触れ、その「偉大さ」に感謝し、自然の恵みに感謝し、そこには人間が為し得る事が出来ない世界がある事を知り、神仏が作られた心の世界、即ち神・仏の「こころ」・「宗教心」である事を理解していくでしょう。
ベーデン・パウエル卿は「宗教というものは、少年たちに与える事が出来るものであり、且つ、教えなければならないものである。それは大自然の中で学ぶものである」と示しております。スカウトの 「ちかい」の第1条に「神(仏)と国とに誠を尽くし・・・」と信仰心を持つ事を明示し、更に「おきて」 の第8条に「感謝の心を持つ」(スカウトは信仰をあつくし、自然と社会の恵みに感謝します。お礼の心で、自然をいつくしみ、社会に奉仕します)、また、 教育規程の第1章一般原則第21条には「本連盟は本運動に参加する者が明確な信仰をもつことを奨励する」とあり、同じく第24条には「一つの教宗派に属する者からなる団は、その教宗派の儀式及び行事に参加することを奨励する」とあります。
いずれも正しく信仰を持つ事を強調しています。 私たちスカウトは正しい信仰を持つように努めなければなりません。

② 信仰

日本連盟教育規程の第7章の教育の方針の第6 条で「本連盟は、スカウトが信仰心をもつことを促すために信仰奨励章を制定する」とし、第7条で 「本連盟は、スカウトが明確な信仰をもつため、宗教章を制定する」としています。

③ 信仰奨励章とは

このようにスカウト教育の中心はスカウトたちの心に「宗教」を理解し、「信仰心」を脊てる事であり、スカウト運動の本来あるぺき姿は信仰を基盤とした活動が願われています。
一部の限られたスカウトが信仰心を培うのではなく、参加する総てのスカウトが信仰心を高める為のプログラムとして、特にボーイ年代のスカウトを対象に、ベンチャースカウトで宗教章を取得する前段階として位置づける為に、そして最終的には宗数章につなげるプログラムとして、設置されたのが信仰奨励章であります。

④ 信仰奨励章の取り組み

日本連盟は、教育規程の第1章一般原則第22条に信仰を奨励する為にスカウツオウン・サービスの項を加え、「スカウツオウン.サービスは本運動に参加する者各自の信仰心を高揚するために行われ、 それは「ちかい」と「おきて」の実践をより深めるものである」としています。
スカウツオウン・サービスの取り組みを重視し、 「ちかい」と「おきて」に結びつけ、その実践を深める事によって、スカウトの信仰心への導きを促すものです。従って信仰奨励章は宗教章の前段階と位置づけています。宗教章に挑戦する以前に取得することが望ましく、継続した取り組みが信仰心につながると思います。

☆信仰奨励章の取得要件(日本連盟教育規程より抜枠)

  1. 初級以上のポーイスカウト、またはペンチャースカウトであること。 
  2. 隊集会やキャンビング・ハイキングでスカウツオウンに参加する。
  3. スカウツオウンで、自分ができる役割を果たし、ちかいとおきてを日常で実践したこと、感じたことを発表する。
  4. 隊集会やキャンピング・ハイキングでスカウツオウンで主要な役割を果たす。
  5. 「アンノウンスカウト」の逸話を調べ、適切な表現形式(劇、紙芝居など)で隊の仲間や他の人々に伝え.自分の「日々の善行」の実践のようすについて話す。
  6. 班で年間を通じて行える奉仕活動を考え、隊長の指導のもとに実旗する。 (ターゲットバッジ「近隣奉仕」5と共通)
  7. 自分の家の宗教(派)か、興味を持った宗教(派)の宗教儀礼、宗教行事、またはスカウツオウンに参加する。
  8. 自分の家の宗教(派)か、興味を持った宗教(派)の教導職から信仰や宗教について話を聞く。
  9. B-P卿のラストメッセージを読んで、班集会で話し合う。(ターゲットパッジ「B-Pj」6と共通)
  • 信仰奨励章は、隊長の認証と団委員長の申請により、県連盟が交付する。
  • 授与は、所属団においてこれを行う。

⑤宗教章とは

(例)仏教章前述したようにスカウトや指導者の為に、明確なる信仰を持つ事を奨励する為の「道しるぺ」となるものとして制定されたものが宗教章であります。
宗教章は、その信仰の度合いが、一定の基準に達したことを証する一種の表彰基準であって、技能章ではありません。
宗教章には仏教章、神道章、キリスト教章、世界救世教章、そして金光教章の5種類があります。

スカウトに、明確なる信仰心をもつことを奨励するための「道しるべ」となるものとして制定されたのが宗教章であります。
宗教章は、その信仰の度合いが、一定の基準に達したことを賞する一種の表彰記章であって、技能章ではありません。日本連盟規約に表彰・有功記章と同格として扱っています。(規約第9章)

☆宗教章授与基準(日本連盟教育規程より抜粋)

  1. 登録完了の1級以上のポーイスカウト、ベンチャースカウト及びローバースカウトであること.
  2. 自分の所属している教宗派の歴史と教えを知ること,
  3. 自分の所属している教宗派の宗数行事について知ること.
  4. 礼拝の作法について知ること。
  5. 信仰に基づき、地域社会のために奉仕すること。
  6. 自分の生活の中に教えをどのように実践しているか記録を提出すること。

    • 各教宗派は、前項に基づき授与基準を制定し,本連盟の承認をうけるものとする。

    申請手続きと授与

    • ボーイ一級以上のスカウトは、すべて各自の宗教宗派の教導職について、授与基準の各項にわたり教えを受け、生活にこれを実践して信仰を深めます。そして、その教導職がその成果が基準に達したと認めた場合、所属隊長と協議の上、教団の機関から県連盟を経て日本連盟事務局に、規定にしたがい申請書を提出します。
    • 日本連盟事務局は、この申請が適当かどうかを確認し、手続きをとります。手続きの完了した申請書は、日本連盟にて保管。申請者にはコピー1部を返却します。
    • 次に、本人に対する授与は、所属隊長は教導職と協議して、適当な時期と方法を定めて授与します。但し宗務当局が直接授与することもできます。この場合は、隊長と教導職の了解を必要とします。団指導者の中に教導職のいない場合は、スカウトのために、隊指導者は該当の教導職者を紹介する義務があります。

    ⑥着用箇所

    宗教章の着用箇所は制服左胸の年功章の上部に着用します(略章も同じ)。