第38期仏教章第2教程講習会の報告

数えて38期目を迎える天台宗仏教スカウト連合協議会(以下:天台スカウト)が開催する、仏教章第2教程講習会(以下:第2教程講習会)ですが、

第38期の回峰行
(戒壇院前)

例年ならば、春休み中の3月下旬に、2泊3日の日程で、修行の場でもある比叡山延暦寺内に於いて、少し厳しめの規律と雰囲気と中で実施するのですが、令和2年(2020)の第36期は新型コロナ感染症の国内での流行が始まった直後で、今後の流行拡大の可能性があった為に中止となり、令和3年(2021)の第37期では、今回同様に宿泊を伴わない形での開催を準備していたのですが、分散会場であった神奈川県と兵庫県にコロナ緊急事態宣言が発出されたことによって、2回連続、第2教程講習会が開催出来ませんでした。

そして、迎えた第38期です。新型コロナ感染症の流行に伴い、宿泊を伴わない形での開催ということで、第2教程の受講内容を座学と、屋内で行う仏教儀礼・賛歌等の実習を「講義研修」として、比叡山の諸堂を巡拝して歩く回峰行を「回峰行実習」として、それぞれ実施日を分けて日帰研修の日程で実施しました。

東日本・西日本に分かれて「講義研修」を実施。

「講義研修」の実施は、西日本は2月27日に滋賀県大津市の恵光院を会場として、東日本は3月13日に神奈川県秦野市の命徳寺を会場として実施されました。参加者は、仏教章第1教程講習会を終了したスカウト14名で、今まで比叡山を会場として行っていた講習内容基本とした内容で、午前9時半に始まり、夕方の5時半まで、ミッチリとした内容の研修となっていたようです。
座学での講義が中心ではあります。しかし、仏教や歴史のお話を延々と聞かされるのは辛い(?)ものですが、幸いなことに座学の合間には、写経や座禅止観など、手や体を動かす実習も挟まれていて、眠気防止になったのでは無いかと思います。


また、比叡山で行っていた第2教程講習会では、食事も重要な研修内容の一つですので、各会場での昼食時間でも、ただ空腹を満たすだけの食事ではなく、食事の意味や食事作法について考える指導がありました。多分、参加スカウトの多くが、今までで一番緊張した昼食になったかもしれませんね?
夕方までの仏教章に関する「講義研修」で、普段のスカウト活動とは勝手が違ったかもしれませんが、異なる環境や、今まで余り縁が無かった事柄に触れてみることは、各人の世界を少しずつ広げることにつながります。
ボーイスカウトの仏教章取得と言う目的で、参加した第2教程講習会ではありますが、講義研修で学んだことの幾つかが、スカウトの心の中に残り、今後の人生でプラスに働けばと期待しています。

仏教章第2教程講習の回峰行実施

東日本・西日本と会場を分けて実施した「講義研修」を修了したスカウト14名が参加しての「回峰行実習」が、春休みに入った3月25日に実施されました。
午前9時に大津市坂本の天台宗務庁に集合し、駐車場で簡単な出発式を行った後、指導してくれる比叡山延暦寺のお坊さんに従って回峰行実習に出発しました。

無動寺坂の急登

スタートして坂本の町を外ると、いきなり無動寺に続く急坂に交じりの険しい山道になります。比叡山に上るには、この無動寺坂を60分程登りきらねばなりません。
スタート時点では少し肌寒かった気温でしたが、坂を上がるのに従って、息も弾み体も温まります。最初の30分ほどで、出発地点から標高差430メートル程を一気に登って明王堂で少し休憩です。
休憩地点では、ゆっくりと休みたいとこなのですが、普通のハイキングでは無く、「回峰行実習」ですから、指導のお坊さんがお堂の説明を聞きつつ、般若心経によるお勤めをします。一応、初歩的な修行の一つですから、少ししんどいけれど、指導の従うまでです。
明王堂での休憩の後も、もう少し上りが続き、延暦寺の建物がある峰まで更に標高差100メートル程の山道を登っていきます。
出発点の天台宗務庁の標高が130メートルで、延暦寺の入口付近が標高690メートルですので、1時間ほどの間に560メートルを登ります。

東塔・西塔巡拝

山上に入ると、多少の上がり下がりはあるのですが、最初の無動寺坂の山道に比べれば楽なものです。訪れた延暦寺の東塔地区では、現在、令和の改修工事中の根本中堂を訪れて、比叡山の歴史関する話を聞き、大きなお堂の改修工事の様子を直に見学しました。その後も、近隣のお堂を巡りながら、東塔地区から西塔地区に移動して、比叡山を開かれた伝教大師の墓所である浄土院に参拝し、西塔地区の中心である釈迦堂を巡りました。そして峰道にあるドライブインまで足を延して、そこで温かな昼食を取りしばし休憩。

午後からは、再び東塔地区にもどり法華総持院や阿弥陀堂を訪ねた後、麓にまで下りて、出発地の宗務庁の隣にある滋賀院を最後に訪ねて、この日の回峰行の実習としました。

最初は初対面のスカウトも有って、皆が遠慮がちだった雰囲気も、回峰行を終えて宗務庁に帰還する頃になると、短時間だけど苦楽を共にした仲間のような一体感が漂っていました。

通常の第2教程講習会で行っている回峰行は、午前2時の深夜の真っ暗の中でのスタートなので、厳しい行という感じですが、今回は日中ということもあり行程は同じでも、少し気が楽だったかもしれません。

第39期は本来の形で・・・

昨年・一昨年と、コロナ感染症の流行再拡大で開催出来なかったは第2教程講習会でしたが、今回は仏教章を目指すスカウトの為に変則的な形とはいえ、何とか実施することができました。
来年迎える39期の仏教章第2教程講習会では、本来の会場である比叡山延暦寺の山内で、日程的にも2泊3日の時間をとって、初歩的な行という面を強調した形での開催に戻せることが出来ればと願いています。